ボン・ミュージック

先日、母一人で娘を育てている友達とご飯を食べていた時のこと、彼女はこんなことを言ってました。娘が、幼稚園で会うおともだちが歌っているフランスのポップスを覚えてきて、家に帰ってきてお母さんに歌うそうです。でもお母さんは、『ポップミュージックは”ボン・ミュージック”じゃないから聞くのやめなさい』と、娘を注意するそうです。


ボン・ミュージックの”ボン(仏語)”は、ボン・ジュールとかボン・ソワとかと同じで、要は”良い”って意味で、直訳すると”いい音楽”。
でも、なにがいい音楽なのかって話をしたいんじゃなくて、”その注意はちょっとどーなの?”って思ったわけです。


僕は、今でこそ広すぎてよくワカラナイ音楽の世界にドップリですけど、でも最初の音楽への目覚めは、小学生の時にテレビアニメの主題歌とかをテープに録音することでした。その後しばらくは邦楽を聞いていたのですが、中1の時に友達のお兄ちゃんが持っていたジャーマンメタルを借りてから、日本の音楽から遠ざかり、紆余曲折の末今に至るわけです。もちろん今もポップスは聴きますが、気分によってはポップスがボン・ミュージックである時もある。また、その人・その場所において、どういう音楽がボン・ミュージックであるか、ある程度の尺度をもって推測することも出来るのである。


ポップ・ミュージックとは、要は”大衆音楽”で、刺激が少なく、メロディーが聞き易い。だからこそ幅広い年代が見るテレビでよく流れるわけで、大衆にうける事を目的として作られているとするなら、それが良いか悪いかはなんとも判断し難い。また、幼少期の友達との交流の中で、共通の音楽を含めた話というのは、当人にとっては大事なモノであり、またその個人の人格を形成する段階において、せっかく好きになったモノを奪ってしまう様な方向に持っていくのは、子育てという面からして少し誤っているのでは無いかと思うのである。


結局僕は、その人の子育てに口出しすることは無責任だし、内政干渉的なのでやめましたが、自分が経験して積み重ねた物差しを、人に無理矢理当てはめるのは、当人のやる気を損ねるばかりか、その人にとって最終的にプラスになるとは思えない。
音楽というモノを通じて、子育ては一筋縄じゃいかねーな、とか思う今日この頃でありました。