『Elephant』 監督:ガス・ヴァン・サント


本作は、1994年アメリカのコロラド州の高校で起きたあの有名な事件を映画化した作品であり、
また、同名のカルト作品『Elephant』からインスピレーションを受けた監督が二つのイメージを一つの作品に消化したモノでもある。
詳しくはこちら↓
http://www.elephant-movie.com/elep_index.htm


何人かの生徒の視点を通して描かれる、筋書きの無いハイスクールの日常の風景。
それは監督が徹底して作り上げた”とある日常”。そこで始まる狂気の沙汰が、日常と非日常の境目を分からなくする。
いや、そこではそれが”日常の一コマ”であり、コロラド州の事件も、日本で起きた17歳のバスジャックも、酒鬼薔薇も、
今この瞬間起こらないとは限らない”とある日常”の中のほんの一コマなのである。
リオ・デ・ジャネイロのスラムを一人のカメラマンの視点を通して描いた『CITY OF GOD』も個人的には相当衝撃だったんだけど、
『Elephant』は日常という空気感が変に脚色されていない分、見た後に自分で考えさせられる面が多く、
何度見ても飽きのこない作品である。