ジイチャンとの一日

afropsychic2004-08-04



今日は街のCD屋と本屋をじっくり巡る予定だった。そんな話をステイ先のトニージイチャンにしたら、
『オマエはイギリスの大事なモノを何にも見ないで帰るのか!オレがいいモノ見せてやるから、カメラ持って着いて来い!』ってんで、車でロンドン郊外へ連れ出された。
江戸っ子みたいに書いたけど、ホントにこのジイチャンは日本語にするとそんな感じがする、
膝が悪いのは抜きにしても、とても80歳には見えないイキの良い人なのだ。


まず行ったのは、家のあるアクトンから西へ車で30分程行ったところにあるイギリス王室が住むウィンザー城。
城下町も魅力的だったけど、時間が無いので城へ直行。
『オレは膝が悪くて一緒には回れないから、坂の下の駐車場で待ってるぞ』と言う訳で、
のんびり見学する人たちをスルーしながら一人ダッシュで城内を見学。
”豪華絢爛”という一言で片づいてしまう程度にしか見れなかったけど、
じっくり見れば見るほど深い歴史が刻まれた城だった。


『どーだった?』『良かったよー!』というわけで、次なる目的地は、丘の上にある第二次大戦で亡くなった英空軍40人の慰霊碑。
ココは有名な観光地では無いが、ジイチャンの好きな場所らしかった。
壁に囲まれた中央に石碑があるだけの質素な場所だったけど、人のいない静かな空間の中、時折上空を通る航空機の音と共に、
亡くなった人たちに思いを馳せた。大きな窓ガラスに掘られた祈りの言葉が青空に透けて、とても印象的だった。


すっかり気分も落ち着いたところで、次はハンプトン・コート・パレスという宮殿の庭を散歩することになった。
これがまた巨大な宮殿で、塀の長さからして皇居くらいはありそうだった。二人で芝生に座って、しばし休憩。
その後、『庭をグル〜ッと見てこい』ってんで、一人でウロウロしに行った。
グルッとって言ったって、庭は相当果てしなく何処までも続いて行ってるので、
適当なところで、半分迷子になりながら戻った。


『次が最後だぞ』と向かった先は、”リッチモンド・パーク”という車じゃないと回れないくらい巨大な公園だった。
樹齢数百年を超える世界各国から集められた木々が立ち並び、鹿が走り回り、巨大過ぎてちょっと意味不明だった。
その中にある湖へ向かう途中の左折で、ハンドルの切りが甘かった僕らの車は、反対車線にあった黄色い”車止め”に乗り上げてしまったのだが、
そのまま無理に進んだ結果、車体下部から異様な音がするので車を寄せて二人で降りた。なんとマフラーが半分切れて、宙ぶらりんになってるでは無いか・・。
予想外のハプニングに、『バカやっちまった』とちょっぴり凹むジイチャンと一緒に、自動車保険会社に電話した。
巨大な公園なので探す方も大変そうで、結局一時間後に半分怒り気味で現れた。
しかも、車体を持ち上げて、マフラーをワイヤーで車体に固定させて作業終了。
それ以外は何処も問題無かったらしく、そのまま家まで帰ることになった。


帰り道、『どーだ、今日はいいモン見れただろ? 一時間ばかし無駄にしちまったけど、まぁオレの車はスポーツカーみたいな音になっちまって』と。
ブォンブォン言う車の中で、本当にいい一日だったな〜と振り返る自分でした。